教育

人に教える情熱

池上彰は著書『わかりやすさ>の勉強法 (講談社現代新書)』の中で、読売新聞の1面のコラム「編集手帳」を「各紙の中でも群を抜いた力量」と称賛していた(→過去の記事)が、その編集手帳の書き手である竹内政明と池上彰が文章について語り合ったのが、『書く…

アクティブラーニングとは…

オリンピックが始まった。ということは、次回東京オリンピックまであと4年。…4年しかないんだ。大丈夫なのかなあ。 そして、その2020年から大学入試が大きく変わるらしい。親としても、教師としても、4年後に大学入試がどうなっていようともう関係ないと…

『いま、君たちに一番伝えたいこと』

いま、君たちに一番伝えたいこと作者: 池上彰出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2015/04/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る 池上彰が取り上げる話題は、政治、経済、歴史、教育など実に幅広い。そして、どんな…

「壇上の賢人」

アクティブラーニング入門 (アクティブラーニングが授業と生徒を変える)作者: 小林昭文出版社/メーカー: 産業能率大学出版部発売日: 2015/04/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 旧来の授業観を改めて、生徒が主体的に生き生きと参加する…

『なぜ「大学…」』は誰に勧めるべき本か?

『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』というタイトルに食いついた人は、「騙された…」と思うかもしれない。その問いには、「第2章 何のために勉強するのか―可能性を広げる教育」で答えてくれてはいるものの、他の章はこの問いとの関連性は薄い。…

話題の『学年ビリ…』は確かにおススメです。

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話作者: 坪田信貴出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発売日: 2013/12/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (33件) を見る とにかくこれは絶対に面白…

教育と自由

灘中 奇跡の国語教室 - 橋本武の超スロー・リーディング (中公新書ラクレ)作者: 黒岩祐治出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/08/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (6件) を見る教科書を一切使わず、一編の小説を読み進…

青な花

曲り角の日本語 (岩波新書)作者: 水谷静夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/04/21メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含むブログ (11件) を見るなぜいま日本語は「曲がり角」なのか。 著者はその根拠として、立派な肩書をもつ人の日本語にも「表現…

読む力をつける本

「先生、読解力をつけるにはどうしたらいいですか。」 と聞かれて、 「それはね、本を読むしかないんだよ。それから読解問題をたくさん解くことかな。」 などと答えつつ、内心、(ウーン、国語の教師らしくもっと気のきいたことが言えないもんかな)と思った…

予習病患者?

予習という病 (講談社現代新書)作者: 高木幹夫,日能研出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/11/19メディア: 新書購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見るまずは、「未来を切り拓くのに必要な学力=未来学力」を子どもたちに付けさせるべ…

基礎能力と専門能力

国語の教師だからといって、国語の授業だけやってればいいってもんじゃないわけで、今はキャリア教育なんてものが大事な仕事のひとつなわけです。で、こんな本に手が伸びる。職業とは何か (講談社現代新書)作者: 梅澤正出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/…

学歴分断線

学歴分断社会 (ちくま新書)作者: 吉川徹出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/03/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 107回この商品を含むブログ (45件) を見る著者によれば、経済的な安定度や、仕事に対する満足度などの様々な意識を上下に分断する線、…

異文化理解という課題

異文化理解 (岩波新書)作者: 青木保出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/07/19メディア: 新書購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (29件) を見るグローバリゼーションが進み、生活文化の画一化現象が起こっている一方で、文化とか文明の境界は…

昭和的価値観の親玉

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)作者: 城繁幸出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/15メディア: 新書購入: 17人 クリック: 447回この商品を含むブログ (613件) を見る 本書の論点のうち、とりわけ僕にとって興味深い部…

漢字を学ぼう

この4月から新しい学校に転勤になりました。 今度の学校にはひたすら漢字の勉強ばかりする科目があって、それを僕は週に三コマ(一コマは90分!)も受け持つことになりました。漢字の読みや書き取りの反復練習ばかりやっていては単調になってしまうので、…

文化としてのサッカー

あけましておめでとうございます 今年もよろしくお願い申し上げます さて、今年の僕の目標の一つ、それは日本語を教えるプロとしての自覚をしっかりと持って、昨年より少しでもいい仕事をする、ということです。 なんて、いきなり立派なことを宣言してしまい…

古文の教科書

初対面の人に職業を訊かれて答えると、次に続くのが次の質問。 「古文も現代文も、両方教えるんですか?」 この質問、今までに何十回されたかわかりません。どこの高校でも国語の先生は現代文も古文も教えていると思うんだけど、教わる側には、この先生は現…

日本の教育が間違えないために

欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)作者: 苅谷剛彦,増田ユリヤ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/11/17メディア: 新書購入: 9人 クリック: 259回この商品を含むブログ (87件) を見るずいぶんあちこち線を引きながら読みました。苅谷剛彦氏と増…

ニッポンの先生

『欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)』(講談社現代新書)を読みながらいろいろ考えていたら、昨日出会った鈴木先生のことを思い出してハッとしてしまいました。それは著者の一人、刈谷剛彦氏の次の発言がきっかけでした。 フィンランドでは、教…

悩める鈴木先生

先週の朝日新聞の「別刷り特集(Be Extra Books)」で取り上げられたコミックのうちで、『並木橋通りアオバ自転車店』(宮尾岳)と『鈴木先生』(武富健治)はどうしても読みたくなって、あちこちの本屋を探してしまいました。で、まず先に手に…

青木さんと高橋さんの感想文

今日はこのブログに書きたいネタがいろいろあります。 ・今日の朝日新聞の別刷り特集(Be Extra Books)を眺めていたら、またまた読みたい本がどっと増えてしまったこと。 ・昨日の「全国学力調査」の国語の問題を読んで感じたこと。 ・本日発売…

「おじさん」の本当の意味

「おじさん」的思考作者: 内田樹出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2002/04/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (62件) を見る ワケあって、自宅謹慎を余儀なくされている僕は、この災いを福と転ずべく、元旦からせっせと読書に…

「愛国」という技術

「教育基本法」の政府案が衆院で可決されてしまいました。懸念されることの一つは「愛国心」の強制です。既にどこかの小学校で行われた「愛国心」の「評価」などということがあちこちの学校で始まったらと思うと、憂鬱になります。愛国の作法 (朝日新書)作者…

たかがテストの点数というけれど…

桜木建二先生、よくぞ言ってくれました。ドラゴン桜(12) (モーニング KC)作者: 三田紀房出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/03/23メディア: コミック購入: 2人 クリック: 27回この商品を含むブログ (25件) を見る (桜木)「何度も言うが センターくらいテ…

二つの「愛国心」

前回取り上げた『やっぱり京都人だけが知っている』の「あとがき」に引用されている次の一節が気になっています。ちょっと孫引きさせてもらいます。 「愛国心」という言葉で私が何を意味しているかといえば、それは世界中でもっともよいものと考えるけれども…

テクノロジーの功罪

3年生の「現代文」の教材として最後に取り上げたのは、池内了の「テクノロジーとのつきあい方」(出典は晶文社刊の『科学は今どうなっているの?』)です。少ない授業時数の中で扱うのには手頃な長さで文章も平易ということもありましたが、「ケータイ」を手…

塾長の言葉について熟考してみる。

今日、「朝日新聞」の連載コラム「炎の作文塾」で、高校三年生の文章を俎上にのせて次のように言っている一節があるのを見つけて、考えてしまいました。 ものごとを論じ、しかも読ませる文章に仕立てるのは、プロの文章家のすること。天才でもないかぎり、学…

達人になりたしと思へども…

森口朗『授業の復権』(新潮新書)を読みました。授業の復権 (新潮新書)作者: 森口朗出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/03/01メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (13件) を見る 著者はまず現行の学習指導要領の根底にある「新学力観」を次…