「奥の細道」は若者だけが難しいと感じるのか

堀切実『おくのほそ道』をよむ」(岩波ブックレット)を読んだ。

『おくのほそ道』をよむ (岩波ブックレット―クラシックスと現代)

『おくのほそ道』をよむ (岩波ブックレット―クラシックスと現代)

 

 大学の国文科3年生に対するアンケート調査(『おくのほそ道』のどこがつまらないのか、芭蕉のどこが嫌いか)の集計結果を示し、それについて論評を加えるというユニークな形の「おくのほそ道」論。
 著者は芭蕉の読者を旧世代(言語世代)と新世代(イメージ世代)とに二分し、イメージ世代の若者にとって芭蕉の作品の魅力は伝わりにくいのだ、と結論づける。しかし、芭蕉受容の難しさを世代の特性と関連付けるのは、いささか無理があるようにも見える。二つの世代の境界線がどのあたりにあるのかは明確でなく、僕自身がどちらの世代に入るのかもよくわからないが、イメージよりも言葉優位の「旧世代」の人間にとっても、芭蕉の作品を理解し、その魅力に触れ得たと実感するのは容易なことではないのではないか。