やるしかない状況に自分を追い込む

 『日曜俳句入門』(吉竹純著岩波新書)は、俳句の作り方ではなくて、新聞俳壇などへの投句を楽しむコツを教えてくれる本。 

日曜俳句入門 (岩波新書)

日曜俳句入門 (岩波新書)

 

  僕は新聞の俳句欄に投句するのは腕を磨くのにはあまり有効ではないと聞いていたし、確かにそうだろうと思っていた。だって、何千もの作品の中から選ばれるのはそのおよそ100分の1だし、選者のコメントをいただける確率はさらに低い。自分の句がどう評価されているのか、なかなかわからないのだ。そんなわけで、新聞よりは掲載される確率の高そうな俳句総合誌を鍛錬の場と決めて、投句をしていた時期があったのだが。
 しかし、この本を読んで、少し認識が変わった。自分の句が掲載されることを目指して、毎週続けて投句する。1年、2年と掲載されることがなくても、とにかく継続して投句を続ける、その努力が報われないはずはないのだ。全国紙に自分の句が出た時の歓びは、総合誌の時の数倍も大きいに違いないし、著者が言うように周囲からの反響もあるだろう。
 僕が新聞俳壇に投句しないのは、それがあまり鍛錬にならないと思っていたからというだけでなく、単に宛名を書くのが面倒だと思っていたということもあるかもしれない。だったら、官製はがきにまとめて宛名を印刷してしまって、投句しなければはがきが無駄になる、という状況を作ってしまったらどうだ。句会の期日が迫るとか、やるしかない状況に追い込まれなければやらない自分であることはよくわかっているんだから。