努力と忍耐

授業の準備のために、図書室の「生物学」の棚を物色しているうちに、こんな本を見つけて読みはじめてしまった。

今西錦司 生物レベルでの思考 (STANDARD BOOKS)

今西錦司 生物レベルでの思考 (STANDARD BOOKS)

 

 私をつかまえて、あんたは好きなことばかりしてきてよかったなと、まるで私が苦労知らずの楽な生活ばかりを送ってきたかのようにいうひとがある。そう見えるのであろうか。しかし、好きなことを求めてこれを実現さすまでには、人一倍の忍耐も努力も必要だということを、知るひとはすくない。学問はもとより、探検しかり、山またしかりである。よくぞ好きなことばかりしてきたものだ。あとにはなんの悔いものこっていない。(「好ききらい」より)

79歳の時の文章。いいですね、悔いのない人生。

今西錦司と言えば、以前読んだ『山の随筆』(旺文社文庫)が面白かった。「たき火の練習」には、三高時代の悪行が書かれている。教師の目を盗んで校内の松の木を伐って、登山に向けてたき火の練習をしたという。落第しないすれすれの数を調べて、年間130日くらい山で暮らしたこともあるという。そりゃ、そこまでするには努力も忍耐も必要ですよね。