昭和の少女たち

 「釘ん句会」でご一緒しているKさんから、こんなかわいい本が届きました。『夢みる昭和語―少女たちの思い出2000語』。書いたのは女性建築技術者の会のメンバーである、(元)少女たち。
 「赤チン」「足踏みミシン」「交換日記」など、昭和の香りの漂う語が並んでいます。建築家の皆さんが書いただけあって、「土間」「雨戸」「上がり湯」など、住宅関係の語もたくさん出てきます。
 五十音順に並んだ言葉たちの一番目がこれ。

「あーそーぼ」 学校から帰ると、直接友だちの家に行って「あーそーぼ」と誘いました。断るときは「あーとーで」と言います。「あーとーで、ってうまい断り方ね」と関西から家に泊まりに来ていた叔母に言われました。

 僕の子供時代は、誘うときは「〇〇ちゃん、あそびましょ!」。断るときの「あーとーで」は同じでした。どちらも今は聞かなくなったなあ。

「缶蹴り」 坂のまん中あたりに空き缶を置いて蹴ります。鬼が缶をもとに戻すのが大変なように、できるだけ遠くまで蹴ってから隠れます。ところが坂なので、缶はコロコロころがって、アスファルト道路へ。車に跳ねられては大変。親達に見つかれば大目玉でした。…

 僕の子供の頃も、缶蹴りはよくやりました。でも、缶は空き地のまん中に置くもので、坂道ではやりませんでした。Kさんの遊び場は「砂利敷きのゆるい坂」だったと「坂道広場」の項に書いてあります。

赤胴鈴之助」 …当時十歳だった私は、同年齢の鈴之助に同志的な思いを抱いて応援していました。

僕は、赤胴鈴之助は名前を聞いたことはあるけど、観た記憶はありません。「(元)少女」とは世代がビミョーに違うようですね。

 この本には、「三角ベース」はあるけど、「こま」はありません。「メンコ」は「ボール紙に絵を描いたもの。たたきつけて人の札をひっくり返したり、札の下に入れると勝ち」という説明が載っているだけです。誰も書き手がいなかったのでしょうか。確かに女の子がメンコで遊ぶのを見た記憶がありません。
 もしこの本が『少女たち…』ではなく『少年たちの2000語』だったら、「ボール取らせてください」なんて語が入ってくるかも。小学生の頃、僕の住む家の前は小さな空き地で、そこが僕たちの野球場でした。狭いのでボールがすぐに周りの家の敷地に飛び込んでしまい、そのたびに「ボール取らせてくださーい」と言いいながらボールを取りに行きました。僕にとっての昭和語です。


夢みる昭和語
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dicts/books/syouwago/
http://npo-iezukurinokai.jp/author/kikuchi/