ブンガク的

 以前読んだ伊藤礼『こぐこぐ自転車』が面白かったので、その続編を買おうとネットで調べているうちに、同じ著者の『耕せど耕せど』という本を見つけて、自転車の本ではなくこちらの方を購入してしまった。僕にとっては自転車だけでなく、野菜作りも人生の大きな楽しみの一つなのだ。と言っても、僕の場合は伊藤礼のように庭に耕耘機で耕すほどの畑があるわけでなく、もっぱらベランダでのプランター栽培だけど。ああ、庭に畑の作れる人がうらやましい!

耕せど耕せど―久我山農場物語

耕せど耕せど―久我山農場物語

 ところで、『耕せど耕せど』の帯には、「ニッポン初の家庭菜園ブンガク誕生!!」と書かれているが、本当なのだろうか? 僕は以前読んだ榊莫山『自家菜園の楽しみ』という本を棚から取り出してパラパラとめくってみた。この本は、著者の庭を訪れる小動物や、庭の木や草に咲く花を慈しむ、という内容だったようだ。『耕せど…』の方は、限られた面積の菜園で、いかに効率的に野菜を育てて、たくさん収穫するか、そのための日々の苦労がとてもブンガク的に語られており、なるほどそういう本は今までになかったのかもしれない。
 海外に目を向ければ、家庭菜園をテーマにした本といえば、チャペック『園芸家12か月』ヘッセ『庭仕事の愉しみ』を思い浮かべる。『耕せど耕せど』がそれらと肩を並べる「家庭菜園ブンガク」として読み継がれていくのか、それはわからない。

我が家のベランダ菜園は、ミニトマト、シシトウ、枝豆を栽培中。
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