深沢七郎、島尾ミホ、色川武大…
なんて波乱に富んだ人生を送った人たちなんだろう。それぞれ3ページほどにまとめられた巻末の「人と作品」には、さまざまな出来事がぎっしりと詰め込まれている。つまびらかに書き記せば、一冊の本にも納まりきれないほどの人生だっただろう。それと比べると、自分の人生がいかに平坦でスカスカであることか。3ページどころか、3行もあれば書くことは尽きてしまいそうだ。
色川武大の「連笑」は、作者自身の経験を素材にして書かれたようだ。すなわち、僕自身の経験とはほとんど重なることのない話が展開するが、なぜか主人公「私」に妙に感情移入してしまう。深いところで相通じるものがあるということだろうか。