駆け足や

黒板に今日の一句。


駆け足や宇宙は秋の空の上    越智友亮


「どうだこれ?」
「それ、秋の空じゃなくてもいいじゃん。」
「じゃあ、こうしてみよう。」


駆け足や宇宙は( )の空の上


「この中に、春、夏、秋、冬のどれかを入れてみて、どれが一番しっくりいくと思う?」
「あっ、やっぱり秋がいいかも…」
「どうしてだろうね。」
「空が澄んでいて高く見えるから。」
「そう、ちょうど今日みたいなさわやかな秋空だと、この上に宇宙が広がっているんだなあって、納得するよね。それに、駆け足や、なんだけど、だんだん年の瀬が近づいていてあわただしい気分というのも、ちょうど今頃の感じかな。」
「先生、それ運動会のことじゃないんですか?」
「あっ、そうか。そっちの方が正解かも。でも、どっちにしても秋だよね。やっぱり秋の空で、納得かな?」
「うん。」
「じゃあ、授業のほうも駆け足でいくよ。来週から試験だから、試験範囲終わらせなきゃ。」

新撰21 (セレクション俳人プラス)

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