霧の甲斐駒

甲斐駒ヶ岳に登ってきた。30年以上も前、大学生のころに歩いたことのある黒戸尾根往復コース。今では標高差2200メートルのこのコースは敬遠されて歩く人が少ないとも言われるけれど、さすがにお盆休みの時期だけあって、結構歩いているいる人(走っている人)はいた。それで、七丈小屋も第一小屋の方は一杯で、第二小屋の方に回された。
その第二小屋の靴箱の上に、文庫本が10冊ほど置いてあった。尾崎喜八『山の絵本』とか、上田哲農『日翳の山 ひなたの山』とか… 山小屋の主人が置いたんだろうか、それとも登山客の誰かが置いて帰ったのだろうか。こんな本が置いてあるのとないのとでは、小屋の印象が全然違う。脚力に不安があって、荷物を少しでも軽くしようと車の中に本を残してきた僕には、これは嬉しい。
僕は、自分の本棚にもある上田哲農の本を小屋の外に持って出て、パラパラとめくって拾い読みしたりして、夕食までの時間をつぶした。

この時は、翌朝の晴天を信じていたけれど…
次の日になってみたら、山はこんなガスに包まれていて、頂上からの展望はゼロだった。

ああ、30数年前と全く同じだ…