雪と地名

雪沼とその周辺 (新潮文庫)

雪沼とその周辺 (新潮文庫)

作品の魅力について語るのは他の人にお任せするとして、ここでは作品とは関係ない、どうでもいいことを書いてごまかすことにします。
新潮文庫の巻末には、池澤夏樹による解説が載っています。その一節。

日本の地名で「雪」を冠したところは稀だ。県名にも大きな都市の名にもない。本来「雪」は地名に選ばれる語ではないらしい。(中略)二十年以上の昔、ぼんやりと道路地図を見ていたぼくは、「雨崎」という小さな地名を見つけた。雨が付く地名は珍しく、それにずいぶん詩的だと思ったから覚えておいて小説の中で使った。

なるほど、確かに「雪」が付く地名って少ないかもしれません。でも、僕には東京都大田区の「雪ヶ谷」という地名がすぐに思い浮かびます。なぜかと言うと、僕が生まれたところだから…
深田久弥が「雨飾山」に登ったのは、名前の美しさに惹かれてのことだったんじゃなかったかなあ。「日本百名山」にそんなことが書いてあったような…
そういえば、小田原から箱根に登る途中に「風祭」という地名があるのを今思い出しました。僕は何度かそのあたりを歩いたことがあります。今頃は蜜柑畑の蜜柑の実がちょうど食べごろになっているはずです。


池澤夏樹が言うように、雨・雪・風などの自然現象は日本では地名や姓になりにくいのでしょうか。実際、そういう地名がどのくらいあるのか、もし少ないとしたらそれはなぜなのか、面白い研究テーマのような気がします。