泣きたい人に

三省堂が高校の教員向けに作っている「高校国語教育」という冊子(2008年夏号)に、恩田陸が「図書室という場所」というエッセイを書いています。その中にこんな一節が…

私が本を読んで始めて泣いたのは三浦綾子の『塩狩峠』で、二番目が『アルジャーノンに花束を』だった。しかも『塩狩峠』はクライマックスの場面でぐしゅぐしゅ泣いていたのに、『アルジャーノン』のほうは、読んでいる時はなんともなかったのに、読み終わって訳者あとがきを読み始めたら、いきなりダーッと涙が溢れてきて、「あれ? あれ? なんで?」と、泣いている本人にもその理由がわからなかったことをよく覚えている。

塩狩峠 (新潮文庫)

塩狩峠 (新潮文庫)

『アルジャーノン』は読んでいないけれど、『塩狩峠』では僕も泣きましたよ。大学生の頃だったかな、万年床にしてあった布団にうつ伏せになって読んでいたのですが、クライマックスのところに来たらもうたまらず、そのまま枕に顔を押し付けて泣いた記憶があります。
そんなわけで、人から「泣ける小説は?」と訊かれたら「『塩狩峠』!」と答えることにしています。これ読んで泣かない人って、僕はちょっと信じられないな。
久々にこの話、教室でもしてみようかな。


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