漢字を学ぼう

この4月から新しい学校に転勤になりました。
今度の学校にはひたすら漢字の勉強ばかりする科目があって、それを僕は週に三コマ(一コマは90分!)も受け持つことになりました。漢字の読みや書き取りの反復練習ばかりやっていては単調になってしまうので、生徒が関心を持ってくれそうな話を織り混ぜたりする工夫が必要になりそうです。そこで、話のネタを集めるために、かつて読んだ漢字関係の本を引っ張り出してきました。
『日本の漢字』笹原宏之)、『漢字は日本語である』(小駒勝美)はすでにこのブログで取り上げましたが、我が家の本棚をさがすと『漢字道楽』(阿辻哲次『漢字の字源』(同)『漢字の知恵』(遠藤哲夫『漢字と日本人』(高島俊男が出てきました。幸い、僕が面白いと思ったところや生徒が興味を持ちそうな部分には線が引いてあるので、そのあたりにもう一度眼を通して、教材作りの際に利用しようと思っています。

今日本人が、「権利」「義務」と言ったり書いたりする。これは、形はたしかに日本語だが、その内容、その実質は西洋語なのである。つまりこれらのことばは「形を変えた英語」なのである。日本人の頭は、これらのことばを、西洋語の意味でしか、考えることも使用することもできない。すなわち、すくなくともこうした西洋輸入のことばや観念に関するかぎり、われわれ日本人の頭は、もう百年も以上も前から西洋に引っ越しているのである。(『漢字と日本人』p143−144)

これは僕にはとても興味ある問題ですが、高校生に理解してもらうのは難しいかもしれません。

漢字と日本人 (文春新書)

漢字と日本人 (文春新書)

「習」は、羽ばたきを重ねることです。古い注釈に「習」の字を説明して、「鳥のしばしば飛ぶ」と言っているように、ひな鳥が何度も羽ばたきをくり返して飛ぶ練習をしている様子ととらえればよいのです。(『漢字の知恵』p27)

これなんかは、最初の授業のときに話すのにちょうどぴったりの話かもしれませんね。

漢字の知恵 (講談社現代新書)

漢字の知恵 (講談社現代新書)

ところで漢字の画数の数え方というのはなかなかやっかいな問題ですが、「卍」という漢字は何画だと思いますか。これはなかなか面白い問題で、クイズ番組なんかにもでてきそうです。『漢字道楽』の23ページを読むと、「へえ!」と思うようなことが書いてありますよ。この話もぜひ教室でしようと思っています。

漢字道楽 (講談社選書メチエ)

漢字道楽 (講談社選書メチエ)

漢字の字源』も、たくさん線を引きながら読んだ、面白い本でした。阿辻哲次という人は、一般大衆向けの漢字の本をたくさん書いているようですね。