ドアを探す

東京奇譚集

東京奇譚集

こういうのをプロの仕事と言うんだろう。
どうしたらこんなに奇抜で、スリリングな発想が生まれるようになるのか。

「ねえ、おじさんはここで何をしているの? たしか昨日もここにいたよね。ちらっと見かけたんだ」と女の子は尋ねた。
「このあたりで捜しものをしているんだよ」
「どんなものを?」
「わからない」と私は正直に言った。「たぶんドアみたいなものだと思うけど」

独自なものを生み出す才能とは、凡人に見つからないドアを見つけ出す才能なのかもしれない。


ドアを開ければ、そこにいるのは片足の日本人サーファーであり、腎臓の形をした動く石であり、人のことばをしゃべる…