美術

歌人、中川一政

真鶴半島にある中川一政美術館を見てきました。 真鶴に行った本当の目的は、御林の中の遊歩道を歩くことだったのですが、先日の台風で倒木が道を塞いでしまったらしく、通行不可。そこで、予定を変更してゆっくりと絵を見て帰ることにしました。ところが、災…

岩波新書を代表する一冊

高階秀爾の『名画を見る眼』を、僕は岩波新書を代表する一冊である、と断言してしまおう。いやいや、偉そうに「代表する」なんて言えるほど僕は岩波新書をたくさん読んでいるわけではない。でも、これが名著であることは間違いないと思う。今年1月、このブ…

ゴッホを読む

僕がこれまで読んだ、「絵」について書かれた本の中では、これが一番面白かった。筆者の批評眼は鋭いし、語り口も読者を退屈させない。名エッセイとの評価もあるようだ。僕は古本屋で見つけた単行本を読んだのだが、今は文庫になっている。内容的に古びた部…

リンゴの木には

最近、通勤電車の中でよく読むのは、吉田秀和。吉田秀和の著作は、音楽を聴く、あるいは絵を見るという行為をめぐる思索へと読者を誘う。 絵を見る、あるいは絵がわかる――この二つは同じことである――というのは、その画面を追体験しながら、再構成できること…

絵画と建築

(当然と言えばそうなのだが)ル・コルビュジェの展覧会が行われている今回ほど、建物としての国立西洋美術館の魅力に気づかされることはこれまでなかった。西洋美術館が目的地でないにしても、その前を通って都立美術館に行ったり、奏楽堂に行ったり、つま…

小林秀雄の難しさ、面白さ

小林秀雄の「近代絵画」を読んだのだが、…うーん、難しい。 最近は小林秀雄が大学入試問題として出題されればニュースになるほどだが、結構なことだ。小林秀雄をわかるようになることと、一般的な文章の読解力が身につくこととは、別物だと思った方が良いか…

近代美術館のさきがけ

『日本近代洋画と神奈川県立近代美術館』は、今から36年も前に発行された本で、当時はまだ鎌倉の別館が建設予定という段階。鎌倉の本館が既に閉館となってしまった今では、本書のガイドブックとしての役割は終わっているのだが、日本の先駆的な近代美術館の…

芸術の本質に届く名著

高階秀爾の『続 名画を見る眼』は名著だと思う。山本健吉の『現代俳句』が名著であり、深田久弥の『日本百名山』が名著であるのと同じ意味合いにおいて。 続 名画を見る眼 (岩波新書 青版 E-65) 作者: 高階秀爾 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1971/05/2…

知識か、感性か、

宮下規久朗の『美術の力』を読んだ。 美術の力 表現の原点を辿る (光文社新書) 作者: 宮下規久朗 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2018/01/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 雑誌や新聞に掲載された記事を集めて編んだ本で、古代壁画か…

フィリップス・コレクション展

三菱一号館美術館で開催中の展覧会、「フィリップス・コレクション展」を観てきました。 コレクターの業績という観点から作品を収集した順に並べて見せるという企画も、なかなか面白いと思いました。僕好みの絵にたくさん出会えて満足です。ボナール、ヴュイ…

諸悪の根源としての「感動」とは?

冒頭に置かれた「感性は感動しない」を何度も読み返した。しかし、どうしても途中から理解できなくなる。 感性は感動しないー美術の見方、批評の作法 (教養みらい選書) 作者: 椹木野衣 出版社/メーカー: 世界思想社 発売日: 2018/07/13 メディア: 単行本(ソ…

北欧を訪ねた気分で、湘南の夕日を眺める

フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトの展覧会を観に、葉山まで行って来ました。建物の設計だけでなく、家具、照明器具、ガラス器などのデザインを手がけたアアルトの魅力がたっぷりと詰まっていて、見応えたっぷりです。 アアルトの椅子に座って夕日を眺…

絵をもっと楽しむために

池上英洋の『西洋美術史入門<実践編>』を読んだ。西洋美術史入門・実践編 (ちくまプリマー新書)作者: 池上英洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/03/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 同じ著者の『西洋美術史入門』の続編という…

プーシキン美術館展

プーシキン美術館展を開催中の東京都美術館は平日だというのに大賑わい。今日からワールドカップ、ロシア大会が始まるからかな?(関係ないか…) 僕の特にお気に入りの作品は、次の3点。 アルマン・ギヨマンの「廃墟のある風景」 ジャン・ピュイの「サン=…

「長谷川利行展」のち「釘ん句会」

昨年の今頃、東京近代美術館で観た長谷川利行が良かったという話はこのブログに書いたが、その長谷川利行の展覧会があると知り、プーシキンやルーブルも観たいけどまずこっちが先、と思って昨日行ってきた。 初めて行く会場の府中市美術館は、爽やかに晴れ上…

白い箱

「なぜ?」から始める現代アート (NHK出版新書)作者: 長谷川祐子出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2011/11/08メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ (13件) を見る 「なぜ?」は大事。理解の深まりは「なぜ?」から始まる。 ところが次の「なぜ?…

絵を描く詩人

清宮質文(せいみやなおふみ)の作品に初めて触れたのは昨年、横須賀美術館でのことだった。作品の前で立ち止まらずにいられない不思議な魅力を感じたことが、記憶の片隅に残っていた。その作品展が水戸の茨城県近代美術館で開催中であると知り、観に行って…

その絵のメッセージは? パトロンは?

西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)作者: 池上英洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/12/05メディア: 新書購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (17件) を見る 歴史を学ぶときに重要なのは「単なる固有名詞や年号を暗記することよりも、構造…

続けて原田マハをもう一冊。

モネのあしあと 私の印象派鑑賞術 (幻冬舎新書)作者: 原田マハ出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/11/30メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見るパリに10日間くらい滞在して、美術三昧の日々を送ることができたら、幸せだろうなあ!

初めての原田マハ体験

『楽園のカンヴァス』読了。ミステリーや冒険小説を読むようなワクワク感を味わわせてくれる一方で、読者を陶然とさせるファンタジーの雰囲気も漂う。国境を越えた切ない恋の物語としても読める。 そして、西洋絵画に興味を持つ読者にとっては、業界の裏側を…

ゴッホと日本

東京都美術館でやっている「ゴッホ展」の売店で売っていた文庫本サイズの布製ブックカバーがなかなか良かったのだが、ちょっと高くて買えなかったので、同じ絵を紙に印刷してブックカバーにしてみた。 今回の展覧会は、ゴッホと日本との相互関係に焦点を絞っ…

萬鐵五郎展

置き場所に困るし、安い買い物じゃないからやたら手を出さないようにしている展覧会の図録だが、これは迷わずに購入。(「没後90年 萬鐵五郎展」神奈川県立近代美術館にて) 当時の画家として、当然ヨーロッパの印象派〜キュビスムあたりの動向にも目がいく…

発見! 長谷川利行

企画展と常設展を同時開催するような大きな美術館では、企画展のチケットで常設展も観覧可能となっているケースが多いと思う。とはいえ、企画展を見た後ではもう疲れちゃって、常設展の方はおざなりというか、観たとしても駆け足、という感じになってしまう…

向きが違う!

先週の土曜日、葉山の神奈川県立近代美術館で観た「谷川晃一・宮迫千鶴展」は期待以上の面白さだったが、中でも宮迫のコラージュ作品が興味をひいた。展示作品は撮影可能だったので、写真もたくさん撮った帰った。これを参考にして、自分でもコラージュにチ…

やわらかな感受性

さあ、連休。どこへ行こうかと考えたとき、真っ先に思いつくのが、どこか美術館へ行ってじっくり絵と対話して来よう、ということ。かといって、都心のメジャーな美術館の企画展は超混雑するのが目に見えているので、この時期は避けたい。地方の美術館の常設…

モランディ展

東京ステーションギャラリーで行われている「ジョルジョ・モランディ〜終わりなき変奏」を観てきた。 年譜によれば、モランディという人は昨日取り上げた3人の作家たちのような起伏に富んだ人生を送った人ではない。53歳の時、ファシスト体制に反対する運…

地方美術館の魅力

昨日は、国立新美術館で「はじまり、美の饗宴展〜すばらしき大原美術館コレクション」、今日は静岡県立美術館で「風景画の誕生〜ウィーン美術史美術館展」及び同時開催の「日本人の風景画」を観てきました。東京都内の美術館がその数と質において他の地域を…

村上隆と出会う

ぜひ見たいと思っていた展覧会の一つ、「村上隆のスーパーフラット・コレクション」(横浜美術館)を観てきた。 人のコレクションを覗き見るというのは、面白いものだ。コレクションにはその人自身の作品と言える一面もあるのではないか。つまり、コレクター…

菱田春草を観る

そごう美術館で開催中の「日本画の革新者たち展」を観てきた。今までは日本画にしても洋画にしても、日本の絵画にはあまり関心がなかったのだが、最近は日本人の作品に触れる機会が増えるに従って、興味関心も膨らんできた。興味が湧いてくると、すぐにその…

見逃せない!美術展

今年は展覧会に行く気満々で、こんな雑誌まで買ってしまった。(付録のカレンダーが欲しかったというのもあるけど…) 驚いたのは、今年に入ってブログで取り上げたばかりのルノアールの「ピアノによる少女たち」が、なんと東京にやってくるということ。(4…