山岳

二人の「僕」

家から逃げ出すとき、自分以外のなにから逃げるというのか。さらば、と野生の若者が家好きの若者に告げた。 フォンターネ 山小屋の生活 (新潮クレスト・ブックス) 作者:パオロ・コニェッティ 新潮社 Amazon 孤独を求めて標高2,000メートル近い山の中に小屋を…

山の名文家

街と山のあいだ 作者:若菜晃子 アノニマ・スタジオ Amazon 山の雑誌の編集にも携わったという著者による、山の随筆集。山を語る名文家と言えば、まず深田久弥、続いて串田孫一、辻まこと、畦地梅太郎などを思い浮かべるが、この若菜晃子もその中に加えよう。…

努力と忍耐

授業の準備のために、図書室の「生物学」の棚を物色しているうちに、こんな本を見つけて読みはじめてしまった。 今西錦司 生物レベルでの思考 (STANDARD BOOKS) 作者:今西 錦司 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2019/02/15 メディア: 単行本 私をつかまえて…

利尻・礼文

憧れの地だった利尻、礼文に行って来ました。それも、運よく好天に恵まれて、最高の山旅でした。企画してくれた山仲間に感謝です! 深田久弥の『日本百名山』は、最北に位置する利尻をまず最初に掲げています。その書き出しはこうです。 礼文島から眺めた夕…

蛭のはなし

近年丹沢では蛭の生息範囲が広がっているらしい。最高峰の蛭ヶ岳の名が、蛭に因んだものであるかどうかは定かではないが、この山域にも蛭が多く生息することは確かだ。先日、三十数年ぶりに蛭ヶ岳の頂上を踏んだが、その時は幸いこいつには出会わずに済んだ。…

山に来ると、この風を炎暑の下界に持ち帰りたいといつも思う。

涼風に吹かれに、蓼科山に登って来た。 蓼科山は、深田久弥の『日本百名山』の中の一座に数えられている。僕はこれで百名山のうちのおよそ30座に登ったことになる。「およそ」というのは、乗鞍や蔵王や草津白根のように、頂上近くまで車で行ってそのあたりを…

霊峰白山

白山に登ってきました。 行きの車中、『日本百名山』に白山が「日本三名山」のうちの一つと書いてあったことを話すと、今回の企画立案者で、白山書房の『山の本』の常連の寄稿者であるYさんは「三名山じゃなくて三霊山だ」と言うので、そうか、僕の見間違い…

快晴の雲取山

秋晴れの昨日、職場の仲間と二人で紅葉の雲取山に登ってきました。 家から近く知名度も高い山なのに、僕にとってはこれが初登頂。雲取山が東京都の最高峰であることは知っていましたが、「日本百名山」の中の一座であることは頂上の看板を見るまで忘れていま…

霧の甲斐駒

甲斐駒ヶ岳に登ってきた。30年以上も前、大学生のころに歩いたことのある黒戸尾根往復コース。今では標高差2200メートルのこのコースは敬遠されて歩く人が少ないとも言われるけれど、さすがにお盆休みの時期だけあって、結構歩いているいる人(走って…

南アルプス・八ヶ岳展望サイクリング

昨年同様、今年のゴールデンウィークも、自転車をかついで八ヶ岳山麓に出かけました。 小渕沢で小海線に乗り換え、野辺山まで。 標高が高い所から始めるので、ほとんど下りの楽々コース。 甲斐大泉駅近く。毎度お世話になっている山荘はもうすぐ。 食事は今…

未知のミラノ、思い出の北八ツ

活字を追いながら見知らぬ土地の風景やそこで営まれる生活に思いをはせるというのも読書の一つの楽しみだけれど、活字を手がかりにかつて歩いた場所の記憶を懐かしく呼び覚ますというのもまた読書の楽しみの一つだろう。ミラノ霧の風景―須賀敦子コレクション…

材料はあるのだけれど…

先週の話ですが、夏期休暇を使って久々に山らしい山に登ってきました。 北アルプス、常念岳。 この山の頂上を踏むのは二回目、前回は燕〜大天井〜常念〜蝶ケ岳という縦走でしたが、今回は一ノ沢コースを往復。天気と仲間に恵まれて、楽しい山歩きでした。 常…

残暑お見舞い申し上げます。

夏休みを利用して、二泊三日の家族旅行に出かけてきました。 行き先は今年も信州。最初の目的地は、国営アルプスあづみの公園。 この公園の存在はBRUTUS (ブルータス) 2007年 8/15号 [雑誌]の特集「公園で、夏休み」で知ったばかりでした。ちょうど近くを通…